国内外で最近実施される選挙で、良くも悪くもＳＮＳによる情報発信が大きな影響力をもたらしています。これに対し既存のマスコミはほぼ無力、公平性や個人情報の取扱いに神経質となるあまり、今起きていることを何ら報道せず、若者世代ではとりわけ、ますます頼りにならない存在とみなされる様になってしまっています。

　マスコミの使命は、本来ならば公正かつ希望ある社会の実現にある筈ですが、各論に囚われて全体善が見えず、また自分たちのフィールドを守る為に汲々とし、選挙活動に限らずあらゆる分野で今までにない様な不正義や不公正があちこちで罷り通っているのにも拘わらず及び腰であり、自分たちの存在意義を益々低下せしめている様に思えます。

　一方ＳＮＳに現れる情報は正に玉石混交、どちらかと言えば「石」の方が多いと見受けますが、耳に心地よく響くものや自分の願望に合致しているものだったり、或いは意外性があるものだったりすると多くの人がそれに飛び付き、またそれがどんどん再生されるに連れて、いつの間にか「真実」となってしまい、人々の判断を歪めさせたりもします。

　以前私も仲間から強く勧められて一時ＳＮＳをやりましたが、次第にその閲覧ややり取りで多大な時間を取られる様になり、また偏った意見や主張に群がる人たちの閉鎖的な盛り上がりを見て、ここは私がいるところではないなと考えて退出しました。

　何よりも自分自身の時間や思考をスマホやパソコンに支配される様な気がし、もっと有機的に時を過ごしたいと思い止めたのですが、歩道を歩行中も横断歩道を渡っている時も、或いは電車に乗っている時にも片時もスマホから目を離さない、（申し訳ないが本人の自覚のないまま）機械の奴隷のようになってしまっている人たちを見ると少し怖くなると共に、自分が垣間見たＳＮＳの世界からも、その様な状況に陥ってしまうのが分かる様な気もします。

　最近は街を歩く時も、しばしば反対側から相手がうつむいたまま突進してきますので、危うくまた薄気味悪くもなります。

　よって社会全体で少し啓蒙活動を行っていかないと、これから益々歪な人間社会となってしまう危惧を強く持ちます。幸いにも私の周辺にはそこまで中毒になっている方はいませんが、スマホやパソコンなどの機械と如何に適正な距離感でお付合いしていくか、我々の社会は試行錯誤をしながら、あるべき文化を改めて作り求められている様な気が致します。