新光産業株式会社

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社内ブログ

自尊心

  • 2024.03.07
  • 投稿者:社長

 週刊誌を始めとするマスコミによるスキャンダル報道合戦が過熱しています。毎週のように政治家から芸能人、スポーツ選手に至るまでが標的とされて広告の見出しとなっていますが、それぞれの事の真偽はさておき、何故この様なことが流行りになるのかと言えば、その見出しを見て買う人が多く売上げに貢献するからでしょう。

 人の卑しい感情に訴えて商売をする手口には嫌悪感しか覚えませんし、たとえ書かれた側が事実誤認で名誉棄損であると訴えても「事実と認定する相当理由」があれば却下される由、更に訴えた側が仮に裁判に勝っても、報道する側が払う金銭は売って儲けた金額や信用の失墜からすると雀の涙だそうなので、全くの抑止力にもなりません(例外は、国会議員の外国人との不倫問題です。既に本人が全面的に事実関係を認めましたが、国益に反する重大な背信行為であり、即刻議員辞職しかないでしょう)。

 最近の報道で特に嫌悪感を覚えたのは、サッカーの日本代表選手を標的とした記事です。現在当事者同士が互いを訴えていて真実の程は分かりませんが、大切な試合の直前に記事が出たというのは、当該選手以外の代表選手たちにとっては力の抜ける思いであったでしょう。

 今回はイラン戦だったのですが、選手たちはこの難敵に向かっていくに当たり、日本国民こそは自分達を心から応援し支援してくれる筈だとの思いで、国民の声や願いを背中に感じて覚悟を持ってプレーをするつもりだったのに、味方と思った自国民の一部に背後からいきなり切り付けられたという思いであったかと考えます。

 選手たちは否定していましたが、当日の試合はその裏切られた感覚がありありと見えて覇気もなく、本当に可哀想で中途からは見ていられませんでした。せめて試合が終わった後に報道しろよ!と言いたいところですが、それでは売上が伸びないという事でしょう。まさに売る側も買う側も、他者を貶めて自らと比較して密かな満足を得るといった、卑しい心根の取引を行っているということです。

 話が長くなりましたが、この様な風潮こそがまさに現在の我国の低迷ぶりを象徴していると考えます。これを変えて行く為には、国民一人一人がもっと自尊心を持つ事が必要であると信じます。

 私が高校生の時、英語の習得では授業は無視して(笑)全て自主的に勉強していましたが、その過程でアメリカ人の価値観に触れて、彼我の考え方の違いを知る良い機会ともなりました。あるテキストに出ていた話ですが、一人の若い女性が、裕福な従姉妹の結婚を素直に祝福しつつも、経済環境の違いに対しての自らのやるせない思いを父親に告白したところ、父親が「世の中で最も大切なのは自尊心だよ!自分の価値を信じ、自分に誇りを持って精一杯生きて行く事ことによってこそ、自分の人生を意義あるものとすることができる」と優しく諭す場面がありました。

 その後海外にも出て、この価値観こそがアメリカ人にとって本当に大切なものであり、また戦後の日本人がやや軽んじて来たものとの思いを強く持ちました。自らのアイデンティティを確立して、真の自尊心を持つことのできる人は、他人と自分をいたずらに比べたり虚勢を張ったりすることもなく、自分自身への静かな自信を心に湛えることによって包容力も醸成され、他者に対しても寛容となることができます。

 私が尊敬するヤマト運輸の中興の祖である小倉昌男さんは、障害者が真に誇りを持って生きていく為には自分の職を持ち、かつそれによって適切な収入を自力で得て自立する事にあると考えて、経営の一線を退いた後はその環境づくりに残りの人生を捧げられました。まさに身体にハンディを負った人たちへの真の支援は単に金銭を与えるとか、楽な生活をして貰うという事ではなく、人として誇りを持って生きて行ける機会をつくるのであるということを実践されていたのだと考えます。

 是非我々一人一人が自分自身に誇りを持ち、かつ他者の誇りをも尊重して、互いにリスペクトできる社会を作っていきたいものです。

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