少し前の話ですが、何気にテレビを見ていると「超常現象を科学する」という主旨の番組を放映していました。ゴールデンタイムだったので、見ていた方も多かったのではないでしょうか?
その「超常現象」の舞台は、アメリカのとある地方都市にある築100年以上の元公立病院で、現在は、個人所有の一時レンタル用の貸しビルになっている建物。
その建物は、昔から心霊スポットとして有名な場所であるが、その真偽を科学的に検証する目的で、建築の構造専門家や音響分析のプロ、物理学者などのチームが一つ一つの心霊現象を検証する筋立てとなっていました(複数の逸話の内、数話、抜粋すると)。
一つは、地下にある旧厨房兼食堂で、当時に働いていた高齢のウエイトレスの霊が出現するとの噂を検証する。その部屋に音響センサーや赤外線カメラなどを設置し、記録すると深夜に女の歌声が聞こえたとするスタッフの証言があったので、その証言を音響のプロなどが分析した結果、建物外の犬の鳴き声と3階で調査していた別の調査スタッフの声が音の共鳴により地下室まで届き、ウエイトレスの霊が歌っている様に聞こえたと証明した。
また、別の場面では、心霊現象の体験ツアーの参加者が高熱になり、応接室のソファーに座って休んでいた様子を熱感知機能付きのカメラに写真を撮ったところ、ソファーには2名しか座っていないのに、熱感知の録画には3名が座っているかのように記録されていた。これも物理学者等の分析で、高熱の患者の熱がソファーに移り、その熱がサーモ付きカメラの映像に録画されて、あたかも3人いたかの様に見えたものと実証された。
一方で、窓を閉めた広間の机の上にコインを縦に4枚立てて無人にした部屋の中で、風もないのにその4枚のコインのうち2枚だけが、対角線上に倒れるという現象が頻発していた。科学者が窓を開け風を通したり、振動を与えたりする各種の実験を行ったが、どれも科学的には解明できず、これは、謎として残った。
また、もう一つの場面は、日本のテレビ局内にある撮影用の病院の診療室と病室を使った実験。2人1組×5組(計10名)の2チームを組成し、一方のチームにはそのスタジオには、霊が出ることがあるので、注意して下さいと説明。もう一方のチームには、特に説明することなく、スタジオ内を歩いて貰ったところ、前者のチームでは、複数の人が不気味な声が聞こえて恐怖を感じたと証言し、もう一方のチームは、暗かったので不安であったが、何も感じなかったと証言した。
このような実験を通じてわかることは、人間には「確証バイアス」という心理状態があり、自分がこうなるだろうと思っていることや信じていることなどに囚われることが多い。それは、関心事や興味があることには、耳を際立たせて聞いたり、凝視しようとする。そのため、入ってくるその関連情報が豊富になり、そのことにより興味がいき、さらに本当だと思い込むようになる、これが「確証バイアス」というものだと科学者が説明していました。典型的な例としては、「血液型と性格を結びつける性格占い」があるそうです。
つまり、我々も同じような言動を取り易く、自分に都合の良い情報ばかり無意識的に集めて、思い込みが激しくなったり、稀な事象の起こる確率を過大評価する可能性大である。同好の士が集まるSNS等が発達した最近では、特にその様な傾向に陥りがちです。
対人関係や仕事上の判断する時も同じような思考パターンになりやすく、誤解や偏った理解に基づく判断を招きがちなので、十分注意しなければなりません。
「見たいと思うものを見て、信じたいことだけを信じてはいないか」時には胸に手を当てて再考することが必要でしょう。