嘗て、日本でも「ベンチャー企業=新興企業」が次々と現れ、その中から「ソニー」や「トヨタ」「ホンダ」といった世界的な大企業が誕生し、高度経済成長を支えてきました。
ところが、ここ2~30年間は、新しい企業の出現は減少し、活気のない日本経済となっていました。
それが、最近、その沈滞ムードに変化が訪れ、日本でも起業熱が復活しつつある模様です。
新聞報道によれば、軽井沢町や北海道ニセコ町などの地方での起業が増加しているそうですが、カタカナ名等の無名の会社の新製品や新サービスが次々と登場しています。
その様なベンチャーの中で私が知っている範囲で、面白い、利用してみたいと思うのが、幾つかあります。
その一は、家電レンタルの「レンティオ」です。
当社は、2015年設立で、社長は、楽天の出身者です。事業内容は、消費者が冷蔵庫等の家電や生活雑貨などを、定額(サブスクリプション)で借り受け試用し、気に入ればそのまま購入し、気に入らなければ返却可という新サービスです。「買う・買わないではなく、買う前に試す、必要な時だけ必要な時間使う」がキーコンセプトです。
例えば、シャープの自動調理器「ヘルシオ」を月額1980円で最低6か月借り受け、その間にユーザーが利用価値を判断し、気に入ればそのまま保有利用し、3年間以上経つと自分の物になるという仕組みです。 新品を試せるという魅力があり、故障にも対応してくれるという今までにない付加価値があるサービスで、値段的には、1980円×12×3年=約72千円で、新品を定価より多少安く買ったのと同じなので、納得感もあります。
その二は、「マクアケ」です。
この新サービスは、「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る」というビジョンを掲げており、「まだ世の中にはない、新しいものやサービスをサポーターである消費者が応援購入して支援するサイト」です。
通常、商品を購入する場合は、それぞれの完成品を購入するが、このサイトでは、試作品の段階でアイディアをサポーターに提案して、それに賛同した人だけが応援購入する仕組みなので、提案内容がつまらなかったたり、プレゼンが下手だと賛同者は集まらず、不成立となる。一方、多数の賛同が得られれば、当初予定していた募集金額を上回る資金が集まり、プロジェクトは成功するという仕組です。
例えば、ポータブル折り畳み型電動自転車などは、当初募集金額の5万倍超の金額が集まり大成功しました。
クラウドファンディング(ネット上の資金調達)の一種であるが、がちがちの貸出審査を前提とする銀行貸付のイメージとは程遠く、何か遊び心があって楽しさがあり、この運営企業は、成長し既に上場企業になっています。
その三は、テレビコマーシャルで有名なクラウドファンディングの「ファンディーノ」です。
これは、ベンチャー企業を支援する投資家をネット上で募集して、当該ベンチャー企業の株式購入を仲介する事業を行っています。 通常、ベンチャー企業へは、それへの投資を専業とするベンチャーキャピタルというファンドが支援するので個人は投資できないが、このサイトを利用すれば、個人投資家でも気軽にベンチャーに投資できるサービスです。
具体的には、個人投資家などが最低10万円~50万円の範囲内で当社の審査を合格した個別のベンチャー企業の株式を募集期間内で応募購入するという形態で申込可能。勿論、貸出先は、ベンチャー企業なので倒産したり、配当金がゼロになったり、換金できなかったりするハイリスク商品ですが、その企業が成長すれば高いリターンが得られるとして人気が高い様です。
以上の様なベンチャーには、①創業者社長は、20~30歳代と若く、②出身が伝統的な大企業ではなく、メルカリ・楽天など新興企業や金融の出身者が多い、それ故、柔軟な発想力があり(柔らか頭)、失敗を恐れないバイタリティを持った創業者が多い様です。中には、国連のSDEs(持続可能な開発目標)を念頭に社会的課題の解決を始め、世の中に役立つ新しい製品やサービスを提供したいと理想を抱いている人もいます。
今後、このチャレンジングな起業トレンドが定着すれば、日本の成長力もまだまだ捨てたものではないと思います。いずれこの中から、「テスラ」などに比肩する世界的な成長企業が出現することを期待したいところです。