BS放送は個性的かつ楽しめる題材も多いチャンネル群ですが、難点はCMがやたら多く、それがしばしば延々と続く事です。とりわけ健康食品や健康グッズの宣伝量は異常な程であり呆れるばかりでしたが、最近は一つの社会問題としても捉えて観察するようにしています(実際には時間の無駄ですので、途中でチャンネルを切り替える事も多いのですが)。
勿論、CMは商品を売る為の宣伝ですので、製品の効果を強調するのは当然なのですが、一般人を装ったサクラ(笑)が、人生の大発見をしたとばかりに、声高に商品を勧めるそのプロ根性振りには、ある意味感心をしてしまいます。
ここまでは笑って済ませられるレベルですが、「今ならお試し価格で5千円をたった千円で提供」とか、或いは「これもあれもおまけに付けます」とか一般常識を逸脱した値段設定をしていたり、「特別価格の申込は今から30分間限り、オペレーターを倍増してお待ちしています」というような煽り行為となると、まさに詐欺すれすれと感じてしまいます(ある人の話では一日中同じ宣伝をしているので、どの時間帯でも常に「30分以内」だそうです(笑))。
また一度購入すると自動的かつ繰返し商品が送られて来るのは勿論、ある経験者の話では、何ヶ月か経つと送られて来るものが突然倍になってしまうこともあるそうです。因みに件の商品取引約款が細かな字で書かれていますが、かなり面倒なキャンセル手続きが必要なものも少なくありません。
売込みのターゲットは高齢者、とりわけ独居老人です。あのCMを繰返し見ていると、「それさえあれば、かつての健康が取戻せる」とついつい思ってしまうのですね。そして老人は一度購入すると面倒なキャンセル手続きもできず、結局は親族が気付いた時には、家中が商品の山となってしまっています。
参画企業はいかにも信用度が増しそうな地名を冠する新興企業等が筆頭ですが、大手メーカーもまた数多く参入しており、年配者はとりわけ、そのブランドで信用できると誤認してしまいます。
最近憂慮するのは、この手のCMが地上波にもどんどん進出していることです。また新聞広告も目立って来ています。それだけ濡れ手で粟、ぼろ儲けの商売という事なのでしょうね。
ある意味では現代日本のいびつな側面を現わした現象かと思いますが、判断力が落ちた老人がカモとならない様に、周囲の人は良く気を付けておくことをお勧めしたいと考えます。
現代社会は情報が溢れ返っているものの、その実態は玉石混淆、しかも石がやたらと多い混淆状態です。率直に言って生身の人間が処理する限度を遥かに超える量の情報が、洪水の如く濁流しているのが、我々の社会です。
最近のコロナ情報もまさに混沌としており、中には悪意ある情報も少なくありません。また感染症の統計学の専門家がしばしば登場しますが、統計学と言うのはそれぞれの要素の加減調節で、結論はいかようにも転がってしまうものです。また出て来る結論も決して「因果関係」を表すものではなく、「相関関係」を一定の条件を仮定した上で出しているものに過ぎないことを銘記すべきでしょう。
そうであるからこそ我々は、情報の真贋を見極める力とその正しい対応力、情報を科学する姿勢が、一段と求められる時代にあるという認識が必要となっていると考えます。