コロナ禍により、行政も民間もデジタル化が遅れている現状が露呈しましたが、今日の新聞には「DX注目企業2021」が選出されたとの記事が掲載されていました。
DX注目企業は、経産省と東証が東証上場企業の内、企業価値向上につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し成果を上げている企業を紹介する制度で、グランプリには、日立製作所とSREホールディングスが選ばれていました(後者は、東証1部上場のソニーグループが設立したAIを利用した不動産業・金融業向けのクラウド支援サービスやリアルな不動産業を経営している不動テックの先端的な企業です)。
上記の様なデジタル化のトレンドの中、当社もご多分に漏れず、ITシステム全般の見直しを迫られています。 DX化を進めないと、企業の成長力まで衰えてしまう可能性があり、中小企業でもIT化は避けては通れない大きな課題です。
その検討を進めるための前提条件として、ある程度のITリテラシーが必要ですが、一般的には、①情報リテラシー(情報収集・分析・活用の能力)、②インターネット・PCの活用能力、③その他SNSなどのソーシャル・ネットワークの利用力の3分野が重要であると言われている様です。
そこで我々も知識を深めようと、ITベンダーにDXについてヒアリングをすれば、「サーバーの更新やネット上のセキュリティ対策、スパムメールなどの有害メールの防衛など入口・出口の対策が重要だとか、クラウド上の人事・総務・営業アプリの紹介や脅迫メールを無視していたら乗っ取られたサーバー内の情報をすべて破壊され、大損害を被った実例」などの話がプレゼンされ「セキュリティ対策とクラウド化が必須」と聞かされます。 その一方で、そもそもネット環境下で100%万全なセキュリティ対策は存在しないなどとの情報に接すると、デジタル化による効率性よりもアナログによる乗っ取られる危険性が少ないシステムが安全だという考えもよぎります。
この様な状況に対処するためには、ITに関する中立的な専門家が求められているのではないかと思っています。 例えば、税務の世界では税理士、法律問題は弁護士、年金・健保は社労士などの専門家が居て、相談すれば大抵の問題は解決策が見つかりますが、ITの世界ではIT企業の営業部門が正面の取引先で、その方々との会話は、先方のシステム商品のセールスかシステムの一部分の話であって、パッチワークの様に断片的な話を繋ぎ合わせなければ体系的な知識は得られないのです。 一方システム・エンジニアは、技術のことには詳しいが、文科系のIT弱者?にもわかり易く説明してくれる人は、少ないと思います。
大企業であれば、企業内SE配置したIT専門部署を設置すればよいでしょうが、中小企業にとって、そのような組織編成は困難です。
ITの世界にも税理士や弁護士のような、中立的な立場から会社の利益を踏まえたアドバイスしてくれるユーザー側に立脚した専門家が必要ではないかと思っています。しかし、今のところ、寡聞にしてそのような頼りになる専門家には出会っていません。
従って、当面は、取り敢えずITベンダーにヒアリングしたり、「ITパスポート」の様な資格試験も利用して、少しづつ知識を蓄積して行くしかないかも知れません。
DXのハードルは、結構高いですね。