あらゆるジャンルの音楽を選り好みせずに聴ける耳になりたい。
と言うのは理想で、中々そうは行かない。
ジャズもロックもソウルもポップスも、昭和歌謡や、最近では、ド演歌もどうやら、しみじみくる歳になった。
今あげたロック以降は、アーティスト、或いは表現者の気持ちに寄り添って聞く事がある程度出来ると思われる。
当たり前だが日本語の歌詞が入り易い。
これに対し、ジャズ、クラシックは少々違ってくる。
クラシックは、その時代の上流階級の人達が嗜んだもので、一つの楽曲を指揮者の感覚によって、決まった譜面通り
に演奏するもの、クラシックを聴いていなかった若い頃、皆同じに聴こえて退屈なものであった。
では今クラシックを作曲家の気持ちに寄り添って聴いているかと言えば、決してそうでは無く、作曲家の活躍した
当時の時代背景を知らなければ、深い理解には至らないと思う。
これに対しジャズは、ある決まったテーマが曲の前後にあるが中身はインプロビゼーション(即興演奏)と言われる
演奏者の解釈で自由に演奏するウエイトが高い。
即興演奏とは言っても既存の楽曲や音楽のパターンと何らかの形で潜在的に結び付いている。
ジャズ演奏者は、何千というフレーズの引き出しを持ち、何万通りの組合せを元に即興演奏する。
従ってその事を知っている聞き手は、どう表現するかを期待しつつ、特にライブ演奏ではワクワク、ドキドキを
スリルを持ちながら鑑賞することになる。
こうした事から、ジャズの演奏の楽しみ方の究極は、演奏者の楽器に手の届きそうな距離のライブハウスで、
アドリブの掛け合いをハラハラしながら聴くことか。
これに対し、クラシック音楽の楽しみ方の究極は、フルオーケストラのコンサート会場に出向き、出来れば
一階の中央近くに着席し、指揮者がタクトを振り上げ、最初にオーケストラから出される音圧に、背筋をゾクゾク
させたい。
音楽の楽しみ方は、言うまでも無く人それぞれ、自由である。
どのジャンルも奥が深く限りない。
それ故に、まだまだ先にワクワク、ドキドキする音楽を探す私の旅は果てしない。