6月より「定額減税」が始まりました。給与手続を所管する総務経理部門では、その実務作業に携わりましたが、結構な負担と時間を取られました。
しかも、減税開始の直前になって、政治的な思惑から?給与計算書等に定額減税額を明記しなければならないこととなり、更に、一旦実行済みのこの作業も年末調整時に見直しが必要という複雑さです。当社は、現時点ではアナログ的に一連の作業を実施していることから、間違いが許されないこの実務作業に相当な神経を使いました。
この様に兎に角、面倒な割には政権が企図した支持率の向上には殆ど効果もなかった(各社調査では支持率20%割れで、直近の日経調査によれば定額減税は効果なしとする回答が大半)上に、実質個人所得と消費の引上げ効果も余り期待できないとの意見も多いです。
エコノミストによれば夏以降、今年の高い賃金上昇とこの「定額減税」で、実質賃金はプラスに浮上するとの予想もありますが、減税効果は一回限りであり、持続的に個人所得と消費アップに寄与することは少ないでしょう(実際、実質賃金は、25ケ月連続でマイナス)。
一方、今年の政府骨太方針で2025年のプライマリーバランスの黒字化目標が盛り込まれたものの、その実現性は既に疑問視されており、相変わらず財政支出優先の国家予算が組まれている上に、政権の重要政策である「少子化対策」や国防費の財源は、未だ不明確です(更に唐突に「電気・ガス代金の補助政策」の延長も決定した)。
今回の4兆円の「定額減税」の効果が少ないのであれば、その分を他の財源に使用すればいいのではという素朴な疑問も湧きます。
因みに「定額減税」と同列に論じることは適当ではないですが、先日の新聞に「車の電動化」技術の一環として「走行中発電」の話が掲載されていました(欧州や中国では実用化検討に取組んでいる模様)が、全国の有料道路にこの設備を敷設するには約5兆円かかる模様で、例えば、これに使用すれば中長期的な国家の成長に大いに資するのではないかとも思います。
「定額減税」の様な面倒な作業に付き合わされるであれば、せめて国家的に意義のある政策にして欲しいものです。
支持率向上だけを目的?とした所謂「ポピュリズム」的な政策は、その意図を見透かされて、反って支持率を下げるということに気付くべきではないでしょうか?