先月、上海で恒例の自動車ショーが開催されました。
テレビ放映されたので、見た方も多いのではないでしょうか?
因みに上海自動車ショーは、世界の3大自動車ショーの一つで、今年のショーの最大の話題は、「EV化」。各メーカーとも最近のEVカーを展示し、EV技術の先端性を挙ってアピールしたそうです。
その中で、国内市場世界4位?(2022年の国内販売台数は、日本はインドに負け4位に転落した模様)の自動車大国である日本メーカーの存在感は、薄く、会場を訪れた入場者の関心は、中国メーカーと一部の欧米メーカーに集中したそうです。
中国と言えば、ゼロコロナ政策のロックダウンで休眠していたかの様なイメージもありますが、実際は、その間も中国メーカーは、激烈な競争を行い、その間にEVの世界一の技術と品質を獲得してしまったのではと、先進国の自動車メーカーに衝撃を与えたと評されています。
日本と言えば、トヨタが生産台数では、1000万台を超え、世界一のメーカーですが、その規模の割に、注目度は低下している様です。
その理由は、EVカーが極端に少ない点にあると評されており、確かにトヨタでもEV化率は、2%?しかないのが現状です。
トヨタは、脱炭素化の過程で、すぐにEV全盛時代は到来せず、エネルギー価格や供給網の問題を踏まえれば、ガソリン車をメインとして、ハイブリッド(プラグインハイブリッド含む)をその次に、更にEVやFCV(水素車)も一定シェア揃えるという全方位戦略を取っており、理にかなっていると思われますが、欧米や中国のメーカーが付いて来れないという競争環境の重要な側面を軽視した?結果、彼らは、技術力を要するハイブリッドなどは諦めて、取り組みやすいEVに飛ぶ付き、それに開発力の全てをかけて取り組んだ結果、日本メーカーは後れを取ったのが実情ではないでしょうか?(今や、日本車がEV化に出遅れていることは明白で、戦略的な失敗との意見も多い)
一方で、中国政府は、EVで自動車大国になるという明確な戦略を立案し、立案するだけでなく実際に次々と具体策を長期的な視点から実行に移しており、官民一体となった成長力は、世界でも有数です。
実際、中国メーカーからは、強気の発言が相次でおり、NIOのCEOは「中国市場を足場に世界的なメーカーを目指す段階に移行しつつある」と言っています。
中国のEVは、この数年で品質やデザインを飛躍的に向上させており、一流のデザイナーを高給で雇い(AIを駆使しながら)、更に車載電池もCATL等世界最大のメーカーを擁し、何よりも自国市場が世界最大であるという優位性を活かして、競争力を高めています。
更にEVの考え方が異なると言われており、中国は、車を「スマホの様なデジタル機器の延長線」=「移動するスマホ」と捉える(ITメーカーが開発に参加)が、日本は、「車のデジタル化」と捉えているので、日本では構想出来ない様な車ができるという点にある模様(例えば、中国のあるメーカーのEVは、自動運転で、且つ、スマホと同じ機能が掲載され、あらゆる操作が音声で指示可能、走行履歴他もクラウド上で保管ほか)。
このままでは、日本メーカーの存在感は、低下の一途を辿る可能性もあり、嘗ての電機メーカーのテレビや半導体の様に、自動車産業でも追いつき追い越される瀬戸際になりつつあるのかも知れません。
日本の基幹産業中の基幹産業である自動車産業がその様な存在になれば日本に残る世界的な競争優位産業は、電子部品メーカーなどしか残らなくなる危機感を感じます。
最近のトヨタの社長交代もこの様な厳しい外部環境を踏まえてのことかも知れませんが、大いなる奮起を期待したいと思います。
少子化対策や防衛・経済安保も重要であるが、それに劣らず産業基盤の強化と変革も最重要課題ではないかと個人的には思っています。